ノゾ×キミ 本名ワコウ 作

ノゾ×キミ
作者:本名ワコウ
掲載:週刊少年サンデー、週刊少年サンデーS
期間:2012-2015
巻数:全8巻
評価:★★★☆☆
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本名ワコウ作の『ノゾ×キミ』は、少年サンデーで2012年から2015年まで連載していた、ちょい色気のある青春ラブコメディーで高校が舞台。青年向けだった『ノ・ゾ・キ・ア・ナ』の少年誌向けスピンオフ的作品。

純粋な性格の主人公と一途なヒロインという少年誌の王道的ラブコメで、その中でも女性上位の関係性で物語は展開する。しかし、ヒロインのフェティシズムに主人公が巻き込まれ、その心理的起源を明らかにしていくという形で恋愛関係を発展させていく部分は、『ノ・ゾ・キ・ア・ナ』を除けば珍しい。


導入

高校生の須賀キミオは、女子が体育から帰ってくる最悪のタイミングで女子更衣室に閉じ込められてしまう。

すぐに一つのロッカーに隠れたものの、目の前では同級生の着替えが繰り広げられ、キミオは気付かれないように息を殺す。

しかしその時、キミオが隠れているロッカーが突然開かれる。目の前にいるのは同じクラスの小嶺ノゾミだった。

しかしノゾミはロッカーをすぐに閉め、周囲の女子が去るのを待った。ノゾミはキミオを見逃してくれるようだったが、キミオは恥ずかしさのあまりロッカーを飛び出し、走って逃げたのだった。

その夜キミオは、自室のベッドでのたうちまわっていた。ノゾミに見られたこと、そしてノゾミにこの事をバラされないかと思って…。

ノゾミは存在感のない女子で、キミオとも特に関わりはなかった。しかしノゾミは、キミオと同じマンションに住んでいた。しかもノゾミの家は、コの字型のマンションであるキミオの向かいにあり、キミオの部屋の窓からノゾミの家の窓がちょうど見える位置にあった。

そこにキミオの母親が部屋に入ってくる。そして、あんたケータイ落としたでしょう、ノゾミちゃんが届けてくれたわよ、とキミオに携帯を手渡す。

母親が部屋を出ていったその時、知らないアドレスからのメールがキミオの携帯に入る。
カーテンを開けて

訝しげにキミオがカーテンを開けると、ノゾミの家の窓に同じようにカーテンを開け、こちらを覗く人影が目に入る。そこには、パジャマ姿のノゾミがいたのだった。

思わずギクッとしたキミオは、何のつもりだよとノゾミにメールを打つ。それに返ってきたのは、
ロッカーの中で何をしていたの?
という今日の女子更衣室のことが…。

あれは事故なんだ、黙っててくれとキミオが返すと、
お願い聞いてあげる
そのかわりあたしのお願いも聞いて
とノゾミはパジャマを脱ぎ出す。

あたしがメールした時は必ずカーテンを開けて
あたしも素のままの自分を見せるから
あなたの素のままも見せて
二人だけの秘密の約束ね
そして、あらわになった下着を見せつけるようにガラスに掌をつき、見られているのを楽しんでいるかのようにキミオに微笑む。

自分見せ合いっこしましょ♡
そう書かれたメールの最後に、キミオにはわけも分からず、高鳴る胸を抑えることはできなかった…。


あらすじ

主人公のキミオが幼馴染のノゾミに弱みを握られ「のぞきあい」を強要される。2人は、小さい頃から同じマンションに住んでいたが、ほとんど交流はなかった。しかしその日から「素のままを見せ合う」行為が始まり、ノゾミのその妙なフェティシズムを通して関係性を深めていく…。


感想

祭りや文化祭など、ラブコメ漫画に典型の舞台装置ばかり。しかし、女キャラクターはかなり魅力的。お色気の場面も少年漫画の枠内だが、肉体描写などは極めて肉感的である。

基本的にキミオの視点から描かれており、心理描写の量は多いが深くはない。そして、キミオが昔の記憶を辿っているかのような表現も見られ、婉曲的な伏線かのようにも見える。
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