後宮デイズ すもももも作

後宮デイズ
作者:すもももも
掲載:月刊プリンセス
期間:2011-
巻数:既刊12巻
評価:★★★☆☆
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すもももも作の『後宮デイズ』は、中華風の国の後宮における、妃の間と妃の後ろ盾である有力者達の策謀を描いた大河ドラマ。

また、『後宮デイズ』の「七星国物語」と称した本編は全10巻で完結し、外伝としてその後が「花の行方」と称して第11巻から開始されている。


あらすじ

七星国物語

孤児を集めた旅芸人の集団・金鶏団の看板娘である翡翠(ひすい)は、久しく見ていなかった悪夢にうなされていた。

それは、何者かに父母を殺され、兄である琥珀がさらわれた10年前の出来事をなぞった夢であった。

しかし、舞台が始まれば翡翠はそれに没頭することができた。男装の翡翠を中心とした麗人劇に投げナイフ、楽器の演奏でさえ、翡翠はうまくこなすことができたのだ。

そしてその翌日、金鶏団は七星国の中心である皇都へと向かう途上であった…。


七星国。それは元来七つの国であった。しかし、その国の一つである破軍国が中心として国は統一され、国は州に改められた上で、破軍国の王が皇帝の座に着いた。

その第7代の新皇帝・流星は、破軍州以外の6州からそれぞれ妃を迎えていたが、各州の面目や関係を考慮し、未だどの妃にも手を出してはいなかった。

そして、その後宮の一つである玻璃宮では、侍女が死亡するという事件が起こったにもかかわらず、玻璃宮の妃はその調査を拒否し続けていた。

また、武曲州が貪狼州に同盟を働きかけるなどの計略の噂もあり、後宮を通した各州の謀略が流星とその側近たちを悩ませていた。

その膠着していた事態に悩む流星を気遣い、側近の宦官である棕櫚(しゅろ)は流星に息抜きとして金鶏団の観覧を勧める。

そして金鶏団は、皇帝の御前で芸を披露することになるのであった…。


皇帝になったばかりの若い皇帝。あの悪夢の時から翡翠は皇都に足を踏み入れたことはなく、皇帝の姿を見るのも初めてのはずだった。

しかし翡翠は、その皇帝に琥珀の面影を見つけてしまう。翡翠は、平民であった翡翠の兄・琥珀が皇帝のはずはない、あの悪夢のせいだと、その考えを振り払おうとする。

そんな翡翠の思いをよそに、翡翠の芸を気に入った流星は、後宮の妃をなだめるため、後宮の芸事を司る教坊に翡翠を登用するのであった…。

花の行方

当初6人いた妃は、一人は不祥事、一人は反乱への関与で後宮を去り、新たに一人が加わった5人が七星国皇帝の妃となった。

その新しい妃である翡翠は、妃としての厳しい教育を受けながらも穏やかな日々を送る。

しかし、後宮には問題があった。皇帝は、翡翠と芙蓉の下しか訪れたことがなかったのだ。

それは皇帝・流星の意志であり、翡翠を愛するがゆえのことだった。そして後宮は、芙蓉と翡翠以外の妃に自主的な離縁を勧めることになる…。


感想

孤児である主人公・翡翠と皇帝・流星の間に謎があるというミステリー要素はあるものの、後宮の妃の間の策謀を描いたものとしては平凡である。

しかし、後宮を描いたものとしては、それほどドロドロしていないのが特徴と言えばそうかもしれない。

また本作品の難点として、後宮の6つの区画に七宝の内の6つ(瑪瑙宮、玻璃宮、銀宮、金宮、珊瑚宮、瑠璃宮)の名を付け、それぞれに紫微斗数における北斗七星の名から付けた6つの州(巨門州、貪狼州、禄存州、文曲州、廉貞州、武曲州)から来た花の名を持つ6人の妃(木蓮、芙蓉、牡丹、茴香、花梨、桔梗)が居るという設定がある。

七宝:仏教において重要視される七種の宝のこと。上記の他にシャコガイの殻である硨磲も含まれる。【七宝:ウィキペディア

紫微斗数:生年月日を基に特性や運勢を占う占星術の一つで、唐代末期に創始された。また、紫微斗数における北斗七星を表した最後の一つは破軍である。【紫微斗数:ウィキペディア
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