地球のおわりは恋のはじまり タアモ作

地球のおわりは恋のはじまり
月間デザート
(2015-)
既刊1巻
タアモ
★★★★☆
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タアモ作の『地球のおわりは恋のはじまり』は、2015年より月間デザートで連載中の学園恋愛漫画。

可愛らしい双子の妹への劣等感から極端にネガティブになってしまった女子・柳瀬真昼と、少しミステリアスなイケメン男子・里見蒼の恋物語。


あらすじ

柳瀬真昼には可愛くて性格が良くて、皆に人気の双子の妹・真夜がいた。

何をしても「真夜ちゃんならよかったのに」と言われ、好きな人に呼び出されたと思ったら
…柳瀬さん、…だけど、君じゃない方の
と、間違えた自分に心底恥ずかしくなったこともあった。

15歳になった真昼は
何にも期待しては生きてはいけない
と心に誓うほどになり、その言動は控えめに、そして卑屈になった。

その日は、真夜と違う高校に通うことになった真昼の初めての登校日だった。いいことがあったら、悪いことも必ずあると思い込んでしまう彼女は、その日もたくさんのお守りを持って登校する。

自分のクラスへと向かう途中、真昼は人とぶつかりたくさんのお守りを廊下にぶちまけてしまう。

それは綺麗な顔立ちの男子で、一緒にお守りを拾ってくれる優しい人だった。そして彼は真昼に一緒に教室に行こうと言ってくれる。

しかし真昼の心に浮かぶのは
この人危険だ、かっこいいだけじゃなくていい人だ…
という卑屈な感情と、「優しくされたら、よくないことが起こりそうだわ」というネガティブな思いだけだった・・・。



彼は蒼と言い、真昼と同じクラスだった。そして、真昼の名を聞いて「かわいい名前」と言い、自分に気があるような素振りを見せる。

そんな彼に、真昼は恥かしくも嬉しくなったが、蒼と自分の格差を感じ、その喜びはすぐに霧散してしまうのだった。

真昼が席に座ると、綺麗な顔立ちをした女子・守谷が声をかけてきた。
そこ、私の席なんだけど
と冷たい調子で。

席を変わった真昼は守谷が落とした指輪らしきものを拾い、
指輪落ちたよ
と彼女に渡す。しかし守谷は、真昼の手から奪い取る様にその指輪をむしり取る。しかしそんな冷たいクラスメートの態度も、自分のような人間には当然と、むしろ安心するのであった・・・。



放課後、真昼は下駄箱で蒼に出会う。

気さくに話しかけてくる蒼に、真昼は恥かしさのあまり、身振りで応える。

警戒心を顕にしていた真昼だったが、蒼は構わず
行きたい場所があるんだ、今から行かない?
と誘ってくる。

そこはパン屋で、2人はパンを選び、イートインで一緒にパンを食べる。そこでは、蒼の手からパンを食べたり、自分のパンを半分こしたりと、2人は暖かい時を過ごす。

それは真昼に初めての「甘酸っぱい体験」だったが、そんな幸せな時間も、真昼にとってはこれから来る不幸の代償のようにしか思えなかった。

帰り道、急に降ってきた雨。傘を持っていた蒼は、恥かしがる真昼を傘に入れ、2人は並んで帰る。その道中蒼は
雨で桜が散ってる、雨も悪くないね
と雨に散る桜を前に立ち止まる。そんな散りゆく花弁に真昼も「きれい」と呟く。

ちょうど雨が止み、蒼が傘をたたんだ刹那、強い風と共に桜の木からザーっと水が落ちてくる。ずぶ濡れになった2人は、お互いの顔を見て笑い合い、心が近づく。

そんな楽しい時を過ごし、蒼に惹かれていく真昼だったが、それが裏切られたらと想像し、より頑になってしまうのだった・・・。



次の日の放課後、真昼は守谷に、荷物見ててと教室に一人取り残される。帰りたいけど、帰れない状況の中、蒼が姿を見せる。

守谷を待っていると言う真昼に、蒼は話したいことがあると伝える。

それは、
真昼、俺と付き合わない?
という真昼への告白だった・・・。


感想

読んで楽しい普通の少女漫画で、続きが読みたいな、とも思っています。

しかしながら、自分はいい歳したおっさんで、こんな漫画を読んでいるのは、そして楽しんでいるのはヤバいのではないか、気持ち悪いのではないかと怯えています。

本作は、劣等感を持った女子にイケメンが粘り強く、しかし爽やかに愛を伝え、心を解きほぐしていくという種の作品であり、一見おっさんが喜ぶポイントは無いように見えます。

そして、私が本作を楽しんでしまう理由に、郷愁を覚え青春時代を懐かしんでいるということも特にありません。

なぜなら、高校生時代の恋愛と言えば、パートナーがいる方がイケてる感じがするとか、周囲がみんな彼氏彼女がいるからとか、単にヤリたいからとか、好奇心でとかといったパターンがほとんどで、本当に好きな相手と付き合ったとしてもプライドの激しいぶつかり合いと肉体の貪り合いに終わってしまうというパターンばかりという印象があるからです。

しかし私は、高校生時代にこんな穏やかで深い恋愛がしたかったという思いがあります。

自分もあのときああすればよかった、あの人にこう接すればこんなピュアな恋愛できたのに、というような憧れとも言うべきものが強くあります。

つまりは羨望と後悔があるのです。

しかしおっさんには、このようなピュアな恋愛は絶望的に不可能です。
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