お前はまだグンマを知らない 井田ヒロト 作

お前はまだグンマを知らない
作者: 井田ヒロト
掲載:くらげバンチ
期間:2013-
巻数:既刊7巻
評価:★★★☆☆
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井田ヒロト作の『お前はまだグンマを知らない』は、無料のWEBマガジンくらげバンチで連載中の青春都道府県ファンタジー漫画群馬編である。【くらげバンチ

群馬のとある高校を舞台とする青春マンガだが、話の中心は群馬の食べ物や名物などの文化、そして気候やその中での人々の生活といった風土などである。とはいえ、それらを基にはしているが、決してリアルに描かれているわけではなく、ファンタジー仕立てである。


あらすじ

幼少の時にグンマに住んでいた神月は、千葉を離れ再びグンマの高校に転校することになる。

その車中、グンマで友達であった轟からの「くるな・・・」、「グンマに来て・・・、生きて帰ってきた者はいない」というメッセージ。グンマはそんな所だったかと、スマフォで調べ始める神月。

そこには、「グンマの成人式」としてバンジージャンプをする人々や、アフリカ原住民のような生活をする人々の映像。そして、ネットでの「あそこは地球上に唯一残された秘境」、「グンマに行った友達とその後連絡が取れません」といったメッセージ。

更には、グンマに近づくに連れて濃くなっていく電車中の瘴気。恐怖におののきながらグンマに向かう神月には、更なる困難が待ち受けるのであった・・・。


感想

特定の都道府県をピックアップして、その文化や風土に触れながら物語を進めていく漫画は数あれど、こんな過激な形で実行したものはたぶんいままでなかった。まさに漫画の新ジャンルであり、それを都道府県ファンタジー漫画と名付けよう。

ファンタジー漫画と銘打ったものの実際はギャグ漫画の要素が強く、群馬で成長した人間にとっては、笑いどころ満載だと思う。

「上毛かるた」は、
グンマ人の必須教養にしてグンマ県の聖典
グンマ人は全員、幼少期にこれを叩き込まれる
他県において、グンマ人判別のための暗号として用いられる
のように参照されているが、あながち嘘ではなく、群馬を離れて十年以上経つ自分もまだ結構いけると思う。

「焼きまんじゅう」は、
グンマ人にとってはソウルフードだが・・・
他所者が口にすると甘いみそ味への疑問と拒否反応で脳が壊死し・・・
死に至る・・・!
と言っているが、なかなかうまい。

あと群馬の運動会における特殊な文化「団分け」が
グンマの運動会は赤白の組分けではなく赤城(赤)妙義(緑・黄など)榛名(黄・青・緑など)等のグンマを取り囲む山々の名前の団に分ける(浅間(黄・白など)白根(白)などもある)
のように説明されてたりする。 ちなみに自分の小学校では、赤城(赤)・榛名(緑)・妙義(黄)・浅間(白)と分けられ競ったものだが、何故か榛名と妙義のステータスが高かった。

冬場における群馬の強風「赤城おろし」も、チャリ通高校生のあるある的な形で
並び行く友とも語らう余裕はなく、異性と同伴する者も風の音で互いの会話は聞き取れず、グンマのチャリ勢はただただ孤独を抱え強風の中を進軍する・・・。
登下校の過酷な運動量ゆえに高校入学直後にほとんどの生徒は激やせするもんさ・・・ 。
のように紹介されているが、これはそのまま通用するマジな話。高校生くらいになってくると色気づいて、朝に髪型のセットしたりするけど、学校につく頃にはみんなボロボロになってた。
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