乱と灰色の世界 入江亜季 作

乱と灰色の世界
作者:入江亜季
掲載:コミックビーム
期間:2008-2015
巻数:全7巻
評価:★★★★☆
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入江亜季作の『乱と灰色の世界』は、2008年から2015年までコミックビームの増刊であるハルタにて連載していたファンタジー漫画である。全7巻。【ウィキペディア:乱と灰色の世界

日本のある街に住む、強大な魔法使いの一家である漆間家。小学生である乱は、未だ強大な魔法を操縦できないが、ある靴を履くと成長し美しい大人の女性になることができた。母の静は大きな魔力を持った魔女で、ある役目から魔法使いの村に家族と離れて暮らす。狼に化けることができる兄の陣と鴉に変身できる父親・全は、おてんばな乱と自由気ままな静に翻弄されつつも、彼女らを守ろうと必死である。そんな魔法使い達と街の人間達の特異な世界観をもった現代ファンタジー。


あらすじ

骸虫編

いつものように大人に変身し、一人で遊んでいた乱は鳳太郎と出会う。

全てを兼ね備え女に不自由しない鳳太郎だったが、すぐに乱に夢中になる。しかし、乱は小学生であり、恋や愛、ましてや性に対する欲望すら理解できてはいない。乱にとって鳳太郎は大好きな友達だったが、男と女として付き合っていこうとする鳳太郎に、いつしか乱も自身の新しい感情に気付き始める。

一方静は、骸虫と呼ばれる敵対者を封じ込めるため、魔法使いの村に家族と離れて暮らしていた。骸虫は、ときおり魔法による結界をすり抜け、人間の住む世界に放たれることがあった。しかし、それらは直ぐに魔法使いたちによって駆除されてきた。

今回、結界を破っていった骸虫も、強力な魔法使い達によって、駆除されたかのように見えた。しかし、その骸虫は人間に寄生し、骸虫をその人間に植え付けていたのだった・・・


感想

1巻から4巻では、登場人物を掘り下げながらこの世界の有り様が明らかにされていく。本作では、強く美しく破天荒な魔法使いたちと現実的な人間達は同類で、その世界は地続きだ。

そのような日常が描かれながら、5巻6巻でハイライトを迎える"骸虫編"の伏線が張られていく。そのハイライトの魔法使い達と骸虫の間の争いの描写は圧巻であり、物語としても最高な形で終焉する。

滑り出しを退屈だと思う人もいるかもしれないが、是非最後まで見て欲しいと思う作品である。
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