ラララ 作者:金田一蓮十郎 掲載:ヤングガンガン 期間:2012- 巻数:既刊5巻 評価:★★★★☆ Amazonで詳細を見る |
あらすじ
突然リストラされた桐島士郎は、それにより恋人にもあっさり振られてしまう。求職する気も起きず、ブラブラしていた士郎だったが、失業保険もそろそろ終わろうとする士郎の前に、職を紹介するという美人女医の石村亜衣が現れる。深酒し酩酊していた士郎は、契約書を詳しく見ることなしにサインをしてしまう。
そして翌日、その書類は婚姻届で職とは主夫であったことが明らかになる。
金田一蓮十郎お得意の風変わりなセットアップにおける恋愛物語。
序盤は、恋愛にまったく興味を持ったことがない亜衣に士郎がひたすら振り回されるという形で展開する。
そして、士郎の人の良さに亜衣も心を許していくが、亜衣が士郎に男として興味を持ち始めているのかは、今のところ定かではない。
女性の冷めた本音
金田一蓮十郎作品で特徴的な、女性のクールな本音が本作品でも度々表現されている。籍を入れた翌日に亜衣が離婚の提案をするシーンがあり、ここで亜衣はそもそもバツイチになりたかったという本心を士郎に伝える。そこには、自立した女性の、「なぜ結婚しないのか?」という周囲の言葉や反応が心底煩わしいという本音がある。
そして、本作のヒロイン石村亜衣は、女性の本音を表現する媒体として機能している。極端にデフォルメされた形ではあるが。
亜衣は、経済的に成功し自立した女性として描かれているが、男性経験どころか恋愛経験すらない。それは単に、そのようなことが面倒くさい、煩わしいからだと言い、恋愛をするより仕事を頑張ったり、様々な新しいことに挑戦したりするほうが楽しいと言う。
とは言え、愛情の薄い人間というわけではなく、育ての親に対する深い愛情もまた描かれている。
ここにも、女性の本音に対する表現がある。それは女性というだけで、恋愛や結婚についてのことばかりを聞かれ、経験がなければ愛情のない無感情な奴だとレッテルを貼られる。そのような世間に対するアンチテーゼとして、亜衣が存在しているように思えてならない。
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