こはるの日々 作者:大城ようこう 掲載:good!アフタヌーン 期間:2009-2012 巻数:全4巻 評価:★★★★★ Amazonで詳細を見る |
主人公・こはるはホラーと言えるほど、異常で変態的に恋人への愛を表現する。しかし、当のこはるがまるで自分が正当に愛を伝えているかのように明るく行為を続けるため、感情が麻痺してこはるに魅力を感じてくる。
こはるの恋人である晃もその異常な行動に悩み続けるが、どんな行為も明るく顔を赤らめ「好きだから」と言われ、こはるにどっぷりハマっていく。そんな強烈なヤンデレラブコメディーが『こはるの日々』である。
ヤンデレ:精神的に病んでいるんじゃないかと言うほどに特定の異性に執着し、行為を寄せる状態に陥った人物を指す言葉。
あらすじ
男子高校生鳥居晃は、通学中の電車急停車で転びそうになった女子高生睦月こはるを助ける。次の朝、こはるは晃の最寄り駅に現れ、お礼にと手作りクッキーを手渡してくる。同じ高校だったこはるは、学校でも晃の前に現れるようになり、その可愛さに晃も惹かれ始める。しかしある日、晃はこはるがとんでもない行為をしている場面に出くわしてしまう。
こはるが晃の縦笛をなめているところに。そして何でこんなことをするのかと問う晃に、それを見られているにも関わらず、こはるは「好きだから」と言ってのける。
その後も度々晃の前に姿を現し、異常な行為を続けるこはるに戸惑いながらも、「好きだから」と愛を伝え続けるこはるに捕らわれ、とうとう晃は「付き合おう、俺達」と言ってしまう・・・。
こはるの異常(変態的)な愛情表現
- 晃の縦笛をなめる
- 晃が初めてこはるに買った紅茶のペットボトルを大切に取っておく
- メールが大量に送られてくる
- 一日一件と決めたメールだったが、耐え切れず家まで押しかけて返事をする
- 同じものを食べたいと、自分と同じメニューの弁当を毎日晃に作ってくる
- その弁当には好きという気持ちを詰めこんだらしい
- その思いを晃に食べてもらえてドキドキしている
- 晃がでてくる夢を見るためおまじないをしている
- 風邪をひいて学校を休むのに晃の弁当だけは作って持ってくる
- 手をつないだのが嬉しくて、木工用ボンドでその手を接着しようとする
- 女友達をぶったのを羨ましがり、自分のこともぶってほしいと言う
- 土日に会えないのを寂しがり、2時間晃の手をなでなでし、匂いを嗅ぐ
- 夏休みも晃と会うために晃の家への新聞配達のバイトを始める
- 晃の部屋の空気を胸に貯めようとして窒息しそうになる
- 晃の枕に抱きついて匂いを嗅ぐ
- 晃がこはるの試験用にまとめた書類が風に飛ばされたときに、書類を追って歩道橋からダイブする
- 晃に怒られて嬉しくなり、晃の唇にむしゃぶりつく
- 晃の昔の写真全てを保存用と観賞用と追いかける用に焼き増しする
- 晃の写真全てに同時期の自身の写真を貼り付けて追いかける用の写真を作成する
- 晃の写真を自身の部屋の壁いっぱいに貼り付ける
- 晃の初めてを回収すると言って、晃が幼いときにキスをした幼なじみの女の子にキスをする
- 晃の家の隣に引っ越してくる
- 晃の親に三指をついて挨拶する
- 晃が外出するのを二階の部屋から見かけて窓から電信柱を伝って降りてくる
- 暗視スコープで晃の部屋を観察し、日記をつける
- 自分の枕に晃の顔をプリントし、むしゃぶりつく
- 晃の誕生日プレゼントのマフラーが気づいたら何十メートルにもなっている
- 待ち合わせ10時のデートに明け方から待っている
- 映画を見に来たのに上映中ずっと晃の顔を見ている
- ファミレスで晃と同じものが食べたいとハンバーグ大盛りセットを注文する
- 晃が死ねと言ったら死ぬらしい
- 晃の写真が死ぬほど貼ってある部屋を晃に見られても動じない
- 耳のそばで名前を呼ばれてオーガズムに達する
- 晃が離れた大学に合格し引っ越したら、自分も高校を転学して引っ越してくる
- 結婚しても同様にヤンデレ
- 二人の子供もヤンデレ
感想
ヤンデレラブコメディーと言われるジャンルについては本作しか見たことはないため、本作で用いられている以下のような手法が、当たり前のことなのか私にはわからない。しかし私は本作を傑作だと思ったし、もう少し話を広げても良かったんじゃないかと思う。本作の秀逸な部分としては、こはるの心の動きや、晃に関係しないこはるの日常の風景、晃以外の人間と係わるこはるの描写がまったくなく、こはるの異常行動の起源やスイッチが予想できず、何を考えているのか想像できないことにあると思う。
それは何かモダンホラー的で、日常の中に存在する何気ない隣人が、突然意味不明なきっかけで変貌する恐怖や驚きに似ている。
しかもこれが、二人の幸せなハッピーエンドに繋がってしまうのが凄まじいと思う。こはるの心の内は結局何一つわからないままに。
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