マザー・ルーシー 作者:沖さやか 掲載:ヤングサンデー 期間:1997-1998 巻数:全4巻 評価:★★★☆☆ Amazonで詳細を見る |
青年誌らしいドロドロした展開が全編にわたって続くが、底抜けに明るい主人公がその展開にバンバン頭を突っ込みひっくり返していくので逆に爽快。一番ビッチなのは主人公だけれども・・・。
以下はネタバレ注意。
あらすじ
誰かれ構わずセックスをしてしまう乙部みさお(通称ルーシー)は、その奔放な生活がバレて同棲していた彼氏に追い出されてしまう。最後の手段として、ルーシーは嫌いな母親が働く予備校の寮を訪れる。しかし母親は居らず、母親は寮生の一人と駆け落ちしジャマイカに飛び立つところであった。
ルーシーはチャンスだと思い、母親の代わりに寮母として働こうと思い立つ。もちろん、それは認められなかったが、寮の管理者とのいかがわしい写真を無理矢理に撮影し、ごり押しでそれを認めさせることに成功するのだった・・・。
しかし寮母になってもルーシーの奔放な態度は変わらず、寮生の寝込みを襲う、男風呂に裸で入ってくるなど、遊びまくり、ヤリまくりである。
もちろん、寮生の成績は軒並み下がっていく。危機感を感じた寮生たちは、ルーシーを寮からはじき出そうと動き始める。
遊びたい、ヤリたいルーシーはそれに対抗し暴れまくるが、寮生に非難され大きく衝突したルーシーは、ムキになり次の約束を寮生にしてしまうのだった・・・。
っじゃあもうセックスしないよ!!
しない!!
そのかわりッ
お前ら全員ッ
合格するって約束しろ!!
約束はしたもののヤリたい衝動は抑えきれないルーシーは、気を紛らわそうと寮生に次々と干渉を始める。
彼女を連れ込むも、全く進展がない2人をあおったり、幼なじみの大学進学を諦めさせ、家業を継がせようと上京してきた女に協力してみたりで、寮の騒動は変わらずだった。
しかしそんなルーシーも初めから、奔放な女ではなかった。ルーシーの性への奔放さは、初めてのカレシを母親に寝取られたことに起因していた。
この出来事以降、ルーシーは告白されても
・・・好きってゆーのは苦手だな・・・と言って、見境なく男と関係を持つようになる。
やるだけは?
やるだけならいいよ。
そこへ海外へ逃げた母親が、寮へ帰ってくる。ルーシーの兄と言う男を連れて。人当たりが良く、すぐに寮生達とも仲良くなった兄だったが、ここにも深い闇があった。
兄は母親に関することでルーシーと共感して見せたり、他人に頼られたことのないルーシーに甘えて見せたり、巧みにルーシーと接触し始める。
たちまち兄に恋してしまったルーシーは、生まれて初めて愛の告白をする。しかし兄は、初めから母親に懐柔されており、それによりルーシーは寮を追い出されてしまうのであった。
沖さやか(現在のペンネームは山崎紗也夏)と言えば、一風変わった女性キャラクターを描きつつも、女性のリアルな実態を表現し、少年の女性に対する幻想を打ち砕いてきた漫画家だ。
もちろん本作の主人公であるルーシーも、誰かれ構わずセックスしてしまうなど、そこに純粋な女性像など微塵もない。
しかし、ルーシーの周りの人々は色恋セックスに、プライドや妬みなどでドロドロになっているのに対し、ルーシーの快楽へのアプローチは底抜けに明るく一直線で、爽やかさを感じるほどだ。
そしてこれこそが本作の特徴で、本書を読み終えるころにはビッチも悪くないと思い始めている自分に気付くのだ。
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