アナグラアメリ 佐藤ざくり 作

アナグラアメリ
作者:佐藤ざくり
掲載:マーガレット
期間:2016-
巻数:既刊4巻
評価:★★★☆☆
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佐藤ざくりによる『アナグラアメリ』は、マーガレットで連載中の学園ラブコメディ。

趣味の映画に没頭する冴えない女子高生・森川あめりが、初恋の幼馴染との中学時代の誤解を解いて、恋人となり再び恋にめざめて成長していく、女子力成長ストーリー。


あらすじ

男を遠ざけ、恋愛をバカにしていた女子高生・森川あめりは、日々趣味の映画に没頭する冬眠中のクマのような穴蔵(アナグラ)生活を送っていた。

いつものように、お一人様の映画鑑賞に来ていたあめりは、幼馴染で同級生の南里帝斗(みなみざとていと)が女連れで来ているのを見かける。


帝斗は、学校一のイケメンで、女を取っ替え引っ替えするチャラい男。そして、あめりがこの世で最も憎い男であった。

それは中学時代、あめりは幼少期から仲の良かった帝斗が大好きだったのだ。しかし、中学2年のある日、帝斗に
俺 あめりの事好きだよ
と言われ有頂天になったあめりに、周囲の男子達が
嘘の決まってんじゃーん!!
森川マジだと思ってるよー!
という冷やかしを言い放ったのだ。
だまされた!!
ひっかかった!!
ひどすぎる!!
と思ったあめりは、そんなこんなでアナグラアメリになってしまったのだ。


帝斗から逃げるようにトイレに飛び込んだあめりだったが、あめりが落とした映画ノートを手渡しに帝斗が一人、連れの女を置いてあめりに声をかけてくる。

久々に帝斗と話す機会を持ったあめりは、これ幸いと帝斗へと鬱憤をぶちまける。しかし、話は何か噛み合わない部分があって、その場は中途半端にもの別れになる。

家に帰ってジクジクと考えたあめりは、あの中2の帝斗の告白は真剣なもので、その告白の後、気まずくなって帝斗を無視し続けた自分の方がダメだったのではないか、と思いなおす。

次の日、あめりは最低だった自分を清算するために、イケてる男女に囲まれて談笑する帝斗を目の前に、教壇の上に立つ。

そして、中2の出来事を引き合いに出し、帝斗のことが大好きだったと皆の前で告白する。

教室は一瞬静まり、帝斗の周囲があめりに文句を言いだしたその時、帝斗はあめりを抱えて教室を飛び出すのであった…。



ダメ女子から普通女子へと転身する定番ストーリー

『マイルノビッチ』の毒キノコ、『たいへんよくできました。』のひきこもりに続く、ダメ女子、アナグラアメリがオトコを通して普通女子に転身していく、本作者・佐藤ざくり定番のラブコメ漫画。


本作者のストーリーは、ダメ女子が数奇な巡り合わせでイケメンと仲良くなり、まともな女子になっていくパターンが通例だが、これは作者の憧れが多分にあるのではと、穿った見方をしてしまうのは私だけだろうか。

単行本の末尾にある、作者の近況漫画を読むと、作者は作品のダメ女子を集約したようなキャラをしていて、作品の中にあるような出会いがなかった女子のその後みたいな生活を送っているようにみえる。

だから、鬱憤を晴らそうとこんな作品を描くんだ…、と思ってしまう。もちろん、商業的に求められて、という可能性もあるけれど…。


相変わらず、キャラクターの出だしは強烈

今回の主人公は、女子高生でありながら恋愛全否定の「もののけ三人衆」の一人として登場する。

もののけ その一は、ド近眼メガネにお団子オールバックという地味な中尊寺のりこ。しかし、ネット上ではメイク術とファッションで、フォロワー5万人を叩き出す大人気者。

もののけ その二は、小学生の落書きのような顔をしたブスっ子ながら、動画配信サイトでマスクをかぶってギターを手に歌う、歌ウマ女子。

もののけ その三こと、主人公のあめりは、いつも髪はボサボサで、汚い部屋で汚いジャージでDVDを見続けるという穴蔵閉じ籠もり女子として登場。画的には気の強そうな美少女に見えるが、漫画の中の現実ではブス扱いされていることもあるので、実態は不明である。


本作者の漫画は、こんな具合に面白いキャラクターが出てくるのに、オトコを覚えてだんだん平凡になっていくのが残念極まりない。

もちろん、本作は女子を対象にした漫画であるので、女子的には自分自身を重ねて「イケてない私だけど、イケメンとの出会いがあって、素敵な恋をして、イケてる女に変身するの!」というカタルシス的なものがあるのかも知れないが、私にはわからない。
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