この美術部には問題がある! 作者:いみぎむる 掲載:電撃マオウ 期間:2012- 巻数:既刊6巻 評価:★★★☆☆ Amazonで詳細を見る |
2次元嫁を描き出すべく筆を執るすばる、とにかくいつも寝ている部長、幼児のごとく天衣無縫なコレット、という美術部の微妙にズレた人々を更生させるべく日々奮闘する美術部員みずきを主人公とした物語。
導入
中学2年の宇佐美みずきは思う。この美術部には問題がある!
同じ2年の内巻すばるは、色素の薄い美少年系の美術部員で絵も上手だった。しかし彼の描く絵は決まって、アニメに出てくるような幼い顔の美少女。しかもその絵を嫁と主張し、絵を描く理由は
最強の二次元嫁を描き出すことだった。
その日もみずきは、
…まーたそんな変な絵描いてとすばるにちょっかいを出す。しかしこんなみずきにすばるも慣れたもので、
僕が二次元好きだとと言い返す。
宇佐美さん困ることがあるんですか
すばるのことが実は好きなみずきは、思わず顔を赤らめ、
バッカじゃないの…ッ!と言い返し、動揺ですばるの絵を破いてしまう。
そんなダダ漏れなみずきの心に気付くこともなく、すばるは
コレ僕に言わせれば殺人ですよ!!と、みずきを責める。
そんな騒がしい彼らに見向きもしない熟睡する問題の男がもう一人。美術部部長である彼は、部活に来ても寝てるだけで、絵を描くことなどほとんどなかった。
そうこうしているうちに、すばるは「研究」と称してアニメを観始める始末。そんな部員たちにみずきは、
私ががんばらなきゃ部が潰れちゃうと気負う。
それを見かねたのか、のそっと起きだした部長が
天気もいいし、外に風景でも描きに行くかと言い出す。
そんな美術部らしい発言は、みずきとすばるにとって青天の霹靂であった。そして嵐でも来るんじゃないかと言い合っているうち、部長はすばるを連れて外に向かう。
しかしすぐに降りだした雨に、二人は濡れて戻ってくる。すばるは体を拭きながら…、みずきはりんごの絵を描きながら…、絵の題材について話す。
そういえばと、すばるはもう一人の部員であるコレットが来ていないことに触れる。すばるは今日、コレットに絵のモデルをお願いしていたのだ。
コレットは来る気配がなかったので、すばるはみずきにモデルをお願いする。本当は嬉しいにもかかわらず、嫌がる素振り見せるみずきを説得し、すばるはみずきをイスの上に座らせる。
膝を抱えて、笑顔で、というすばるの注文にみずきは素直に応じ、また真剣に描き進めるすばるをみずきはジッと見つめる。そんな二人を見た部長は、ニヤニヤしながら「あとは若い2人で」と部室を出て行く…。
しばらくして絵が描きあがり、すばるはみずきに絵を見せる。しかしそこに描かれていたのは、ポーズも違う二次元の美少女キャラクター。
誰よコレ!!と怒るみずきに、
そのまま同じですよ、宇佐美さんととすばるは言い、絵の中のわすかに見えるシマシマ模様のパンツを指差す。
…意地悪しすぎたかな?と思ったすばるは、スケッチブックに、こっそりとみずきのデッサンを描く。それをみずきに手渡し、
開けてみてのお楽しみですとみずきに伝える。
そして、ちょうど帰ってきた部長と一緒に3人は家路につく…。
感想
常時ほのぼのとしたゆるい美術部の日常は、気を楽にして読んでられる心地いいものであるが、特筆すべきところは特にない。ラブコメ展開も、中学生のゆるいやりとりにほっこりはさせられるが、そのパターンはありがちである。しかし本作の中で描写される様々な絵画やデッサンは、物語の起点になったり、話題の転換のきっかけとなったり、ユーモアの種になったりして、そのアイデアに感心するし、センスがあるように思えた。
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